TRAKTORの使い方(13) 続・当たり前のようで当たり前なSYNC機能

続・SYNC機能です。

前回の内容から引き続いて意味があるんだか無いんだか良く分からない内容でもあります。特殊なミックスをしない場合はスルーしてもよい…と思います。たぶん。

今回はとても当たり前のところからやっていきます。

仮にA曲とB曲があるとしましょう。これらは違う曲ですので奇跡でも起きない限りはテンポは異なっています。もしこの二つをミックスしようとするとテンポを揃えないといけませんが「どちらの曲のテンポに揃えるのか」ということもTRAKTORにおいては重要な要素となってきます。

ここで登場するのがTempo Masterという概念です。要するに「こちらが主役です」というモノを予め決めてしまうわけですね。


Tempo Master

Tempo Masterは「MASTER」の部分で設定できます。ちなみにこれは再生中のデッキにしか設定できません。


Tempo Masterが設定されたデッキはそのミックスの中心になりますので、他のデッキのテンポはTempo Masterに追従することになります。Tempo MasterのBPMが120であるなら、他のデッキの曲も「SYNC(同期)」させることで120にすることが出来るわけです。

最も分かりやすく使いやすいので、これだけしか覚えていなくても特に問題はありません。

スレーブデッキをマスターにSYNCさせると、そのデッキはもう再生速度の変更ができません。ピッチフェーダーも動かせませんし、ピッチベンドも半透明になってボタンが押せなくなります(※ピッチベンドに関しては下の所に書いています)。

その代わりマスターに追従させることが出来るようになっていますので、この場合にマスターデッキのテンポを変更するとスレーブデッキもそれに合わせて同時にピッチが自動的に変更されていきます。

Master Clock

Tempo Masterに並行してマスタークロックについても触れておきましょう。


ものすごく端的に言えばTRAKTORのメトロノーム機能のことです。

このメトロノームで曲のリズムをカウントすることも出来ますし、このメトロノームのテンポを中心にして曲を再生することも出来ます。


上画像のように「MASTER→ON」かつ「デッキがSYNC」になっている場合は、Master Clockの数字がマスターテンポになります。こうなると、マスターデッキの設定が解除されるのでフェーダーやピッチベンドでデッキの再生速度の変更ができなくなります。

本来であれば不要であるはずのマスターデッキにSYNCが付いているのはこういう理由というわけです。『メトロノームに合わせる場合に使って下さいね』という意味でマスターデッキにもSYNCが付いています。

Master ClockをAUTOにするとTempo Master(を設定したデッキのテンポ)が優位に立つので、デッキからでも再生速度の変更が可能です。ちなみに「TICK」にチェックを入れるとメトロノームの音を聞くことが出来ます。

Master Clockの設定はデッキ間の同期にも関わってくる部分があります。具体的には『AデッキとBデッキをまとめてスクラッチする』といった場合ですね。


(デッキが同期している状態で)片方のデッキをスクラッチすると当然ですが同期がズレてしまうことになります。これを回避するためには両方のデッキが同じようにスクラッチさせればよいのですが(※他のやり方もあります)、手動でそういった作業をやるのはほぼ不可能です。こういった時にMaster Clockの設定を変えてデッキを完全にリンクさせます。

デッキの動作まで同期する場合は、Master Clockの「Master」「AUTO」共にOFFにして下さい。こうすることで、デッキが連携して動作するようになります。

ここまでの内容でいまいちピンと来なかった方も多いと思いますが、そういった場合はスルーしても問題ありません。

Tempo Masterは「どのデッキがマスターなのか」くらいを分かっていれば十分だったりしますし、Master Clockは外部にアナログターンテーブルを使う場合くらいじゃないとこれといった出番はこないと思います。

良く分かない場合は飛ばしてもOKなところです。外部にアナログターンテーブルを繋いだ場合の設定や操作はまた後程書いていくと思います。

Phase Meter

次はフェイズメーターの話です。

デッキの波形上にメーターがあるのですが、これがTRAKTORのフェイズメーターです。ここを見ることでデッキのBPMがきちんと同じになっているかどうか確認することが出来ます。これは知っても無駄にはならない内容です。


上画像の赤い枠内のところです。

ここに何も出ていないのであれば問題はなくもう片方のデッキと同期しているということになり、薄いオレンジのバーが出ている場合はズレているということになります。上の画像ではちょっとズレていることになりますね。

これは曲同士のテンポにも関係しています。BPMを揃えている状態ではこのズレは固定されますが、BPMが違う場合はズレは再生時間に従ってどんどん大きくなるのであっという間にPhase Meterがいっぱいになってしまいまうわけです。

BPMを揃えるのはSYNCボタンひとつで済みますのでこの場合はさて置くとして、BPMが揃っているのにフェイズがズレている場合の修正方法を見ていきましょう。

この場合はメーター右側にあるピッチベンドを使います。


ピッチベンドは再生速度を微調整できる機能のことです。

最近ではアナログターンテーブルにも搭載されていたりしますね。この機能を使うことによって少しずつズレを小さくしていきます。

上画像の場合はメーターが左に大きくズレていますね、この場合は「遅れている」ということを示しますのでピッチベンドを使って再生速度を速くしないといけません。

再生速度を上げる場合は右側のボタンを押します。そうするとボタンを押してる間だけ再生速度が少し早くなりオレンジ色のメーターが中心に近づく仕組みです。中心にきたらズレが無いということですので修正は終了です。

カッコ良く修正したい場合はターンテーブルを回すやり方でもOKです。

PCDJコントローラーだと難しい面もありますが、もしアナログターンテーブルを繋げたDVSで回しているなら意外になんとかなったりもします。遅い方のデッキを速く回しても良いですし、速い方のデッキを遅くしても大丈夫です。

ちなみにですが、前回登場した「Beat Sync」をONにしていると、そもそもこのようなズレは自動修正されるため発生しなくなります。そういった意味ではBeat Syncは非常に便利です。

また、ミックスではあえてフェイズをずらすという手法がありますが、フェイズメーターは左右に2拍ずつメモリが付いていますのでこれを利用してフェイズをどれくらいずらせばよいのか確認出来たりもします。

…とはいえ、これは同期の設定次第のところもありますので実際の使い勝手としては微妙な部分も多いです。メーターを視覚的に見るよりも自分の耳で聞いて確認した方が良かったりします。


シンク機能についてはこのような感じでしょうか。散々書いていますが、詳しく知っているからといって何がどうこうといったことはなかったりする内容です。
 

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