TRAKTORの使い方(18) REMIXデッキについて その②

引き続いてリミックスデッキの話です。今回は前回よりも真面目にしっかりと書きます。かなり詰め込んでいる内容なので余裕があるときにでも見た方がいいかもしれません。

では改めてリミックスデッキについて見ていきましょう。リミックスデッキは横4個×縦4個×4ページ=合計64個のスロットで構成されているサンプリングデッキです。


ableton liveやMASCHINEを使用されている方にはかなり見覚えのあるレイアウトだと思います。

このスロットにはオーディオファイルを読み込むことが可能になっており、好きなタイミングで再生させたり別のデッキと同期してミックス出来るようになっています。

同時再生は4個まで可能です。トラックデッキのようにCUEを設定することは出来ないので柔軟性には欠けますが、64個のループがあると考えればトラックデッキよりも便利である場合も多いでしょう。


リミックスデッキの構造について

ではリミックスデッキの構造の説明に入りますが、これはトラクター内に別のミキサーが存在していると考えておくと分かりやすいです。

通常のトラックデッキの場合は「トラックデッキ→ミキサー→マスター」といった流れで音が再生されますが、リミックスデッキの場合は「リミックスデッキスロット→(リミックスデッキミキサー)→ミキサー→マスター」といったイメージです。

リミックスデッキファイルを展開するとデッキの名称が表示されますが、ここでは無音のトラックが再生されていると考えれば分かりやすいと思います。


この無音のトラックに対してスロットから音を追加することでデッキを作っていくようなイメージです。そのようなわけで、この部分が既にひとつのミキサーになっていると考えることが出来ます。

この無音トラック部分とスロット部分を分けて考えるのがリミックスデッキの構造について知るための第一歩です。リミックスデッキは構造で機能が別れているため、階層ごとに分割して覚えた方が色々と分かりやすいです

・上の階層について

下画像の赤い領域がリミックスデッキの一番上の階層になります。


ここが先ほど「無音のトラック」と書いた部分です。この階層はトラックデッキと同じように音量やテンポを変更することが出来ます。もちろんCUE再生で音を確認することもできますし、ループサイズを変更することも可能です。

一番上の階層は要するに普通のデッキと変わりません。ちなみに階層は全部で3つあります。

・中央の階層について

下画像の赤い部分がリミックスデッキの真ん中の階層です。


人によっては微妙に分類が違ったりするかもしれませんが、個人的にはこれが分かりやすいと思います。

この階層は「スロットデータの再生設定をする場所」と考えて差し支えないと思います。もちろんDJプレイにも関わってくる場所ではありますが、それよりもリミックスデッキを使う上での事前準備として必要になってくる機能が集約されている場所です。

具体的に例をあげてみると

・ゲインで音量のバランスを調整する
・オーディオファイルの再生位置を調整する
・曲をループさせるかどうか設定する

…といったことをする階層になっています。
  
ここからが微妙に面倒だったりもしますが、詳細部分について目を通していきましょう。


①再生トリガー

その名の通りですがスロットを再生させる場合はここをクリックです。前回少しだけ書きましたが、スロットを停止させる場合は「sift」を押しながらクリックして下さい。ページの切り替えは左端にある白いバーを選択すれば切り替えることが出来ます。

このページはまとめてスライドされますので、例えば1ページ目にあるトリガーと3ページ目にあるトリガーは同時再生出来ません。また、再生・停止のタイミングはクオンタイズやスナップ等が関わってきますので注意です。

②ピッチ

その名の通りピッチです。

③ゲイン

その名の通りゲインです。

④2倍速・1/2倍速テンポ

テンポを2倍速にしたり半分にしたりします。普通のトラックデッキではグリッドのところで登場したやつですね。

⑤再生位置の変更

スロットの頭出しの位置を変更します。

⑥テンポの微調整

BPMを0.001単位で細かく変更します(表示されている数字をクリックして直接打ち込んでもOKです)。

⑦トリガー方法の変更

ボタンを押したら再生させるか、ボタンを押している間だけ再生させるか選びます。紫に点灯している場合はボタンを押せば全て再生されます。ボタンを押している間だけ再生というのは中々難しいので、ここは紫に点灯させておいた方が楽ですね。

⑧リバース再生

ここが点灯していると逆再生になります。サンプルの頭に再生位置が来ている場合は後退する部分が無いので再生出来ません。

⑨SYNC

ここが点灯していると一番上の階層(無音のトラック)に表示されているテンポと同期します。NIから配布されているリミックスデッキファイルの中にはスロット表記でBPMが異なるものが入っていたりしますが、こういった場合でもSYNCさえONにしておけば同期はずれません。

⑩再生回数の変更

再生を1回だけ(※DJ用語ではワンショットといいます)にするかループさせるかどうかを選びます。

この設定は非常に重要です。NIが公開しているTRAKTORのサンプル動画ではパッドをバシバシ叩いて音を出しているシーンが多々ありますが、あれはここをワンショット再生にしているわけですね。

リミックスデッキは単純なデッキだけではなく、このような感じでパッドマシーンとしての需要も高くなっています。実際に音楽を流すだけではプレーヤー側もつまらなかったりするので、パッドを叩いてアクセントを入れるというのはとても有効です。

・下の階層について

下の画像で見られる残りの赤い領域の部分です。


この階層は「DJプレイにおける操作」に関わってくる部分といったイメージです。

こちらもさきほどと同じように機能がたくさんありますので結構大変なのですが、『ここまで来たら今更』という気持ちになって目を通していきましょう。



①キーの固定/非固定

ピッチを変更した場合に音程を固定するか変化させるかを選びます。ちょっと分かりにくいですが点灯していれば非固定です。キーを変えたい場合はONにしておきましょう。真ん中の階層で出てきたピッチをいじっても音程が変化しなかった場合はここが点灯していないはずです。

②エフェクトのON/OFF

ここが点灯していればエフェクトをかけれます。かけたくないときはOFFですね。

③モニター

モニターです。

④パンチモード設定のON/OFF

パンチモードとは再生カウントを一定にする機能です。

例えば4小節のオーディオファイルAとBを用意したリミックスデッキを作成したとします。この場合においてオーディオファイルAを3小節まで再生し、4小節目に入ったオーディオファイルBに切り替えて再生すると、通常であればオーディオファイルBの最初から再生が始まることになります。

ところがこのパンチ設定をONにしておくと、この場合ではオーディオファイルBの4小節目に切り替えて再生してくれるようになります。曲の後ろの方にフィルインが入っている場合で便利な機能ですね。

「でもそれワンショットの時困るんじゃない?」と疑問に持たれた方も多いと思いますが、これは環境設定のREMIX DECKの項目から『ワンショットの時はパンチを無視します』という設定が選べるようになっています。

⑤ミュート

ミュートです。

⑥ボリューム

かなり分かりにくいですがボリュームです。左側ですね。

⑦フィルター

こちらもかなり分かりにくいですがハイパスフィルター/ローパスフィルターです。右側ですね。


以上でリミックスデッキとしての機能は終了です。

実際のところ8割くらいが設定に関わってくる部分ですので、直接的なDJプレイに関して覚える部分というものはあまりなかったりします。リミックスデッキは飛び道具的に使える面も強いので。最低でも1つは画面に展開しておきたいですね。 
 

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