TRAKTORの使い方(9) CUEの意味とデッキとの関係を知る

いよいよDJっぽいことに入ります。今回はCUEの話その①です。一度分かってしまえば何ということは無いですが、感覚として理解するまでが結構大変なものでもあります。

うーん…何から書きましょう。まずは全てのDJコントローラーについている「CUEボタン」が何かということについて書いてみましょう。


CUEボタンの役割について

DJにおいてのCUEは「確認」です。具体的な意味や機能はさておき、まずはこのイメージを持っておくと把握するのが楽かと思います。


DJコントローラーについているCUEボタンは「一時的に曲を確認するためのボタン」です

実際にコントローラーのボタンを押してみると分かりますが、ボタンを押している間だけ音が再生されるようになっており、ボタンを離せば再生位置が巻き戻ることが確認できるはずです。

このように、CUEボタンというものはあくまでも一時的に再生するものであるので、直接的なDJプレイにはあまり関与しないわけです。

…とはいえ全く関与しないわけではありません。

例えば『このタイミングで再生だ!』と思って間違ってCUEボタンを押してしまうとどうなるでしょうか。CUEボタンを押している間は音が再生されますが、ボタンから指を話してしまうと音が停止してしまうことになります。これではかなり困った事態です。

では、このような場合ではずっとCUEボタンを押し続けないといけないか…といえばそんなことはありません。CUEボタンを押している間に再生ボタンを押してしまえば通常の再生に切り替わるようになっています。

そのようなわけで、どのDJコントローラーであってもCUEボタンと再生ボタンは必ず隣り合わせに出来ているはずです。片手で両方のボタンが押せないと手間になってしまいますからね。

CUEボタンを全く使わないということは無いと思いますが、直接DJプレイに関わるかどうかはそれぞれのやり方次第で異なります。

ちょっと話は変わりますが、DJコントローラーによってはミキサーの部分に「CUE」というボタンがついているものがあったりします。NIのTRAKTOR KONTROLシリーズには全て付いていますね。


これは再生/一時停止のCUEではなく、ヘッドホンに音を出すかどうかの「CUE」です

直感としては意味が違うように思われる方もいるでしょうが、ここでは『ヘッドホンで音を聞いて確認しますか?』という意味でCUEという言葉が使われています。

最初に「CUEは確認のイメージ」と書きましたが、それはこれが理由です。DJは音出しの失敗が致命的となりえますので事前確認がとても大切です。

微妙に脱線しましたが、これがDJコントローラーについているCUEボタンの役割です。本来ならこれでもうお終いなのですがまだ続きます。DJコントローラーにはCUEボタンだけではなく、HOT CUEボタンという物が用意されていることがあります。


基本的には同じものですし役割もそう変わらないのですが、微妙に機能が違っていることも事実です。そのようなわけで、理解が追い付かないうちにCUEボタンとHOT CUEボタンを混同してしまうと困ることになってしまうかもしれません。

DJは作業としては単純なものなので、その分ミスをすると目立ちます。間違って停止ボタンを押してしまえばせっかく作り上げた雰囲気が台なしになってしまいますからね。限りなくミスをゼロにするためにCUEボタンとHOT CUEボタンの違いも理解しておきましょう。

CUEボタンとHOT CUEボタンの違い

とはいえ、これはいざ言葉にしようとすると難しいものでもあったりします。

こんな説明で良いのか分かりませんが、CUEボタンはどんな場合でもデッキを一時的に止めることになりますがHOT CUEボタンは必ずしもそうだとは限りません。

HOT CUEボタンの動作はデッキが再生中かどうかで変わります。

デッキ再生中にHOT CUEを押すとそのまま自動的に曲の再生が続きますが、デッキが停止している状態であれば通常のCUEボタンと同じようにボタンを押している間しか再生しないようになっています。

一応書いておくと下のような感じですね。

<デッキが再生中にHOT CUEを押す>
ポイントに移動して自動でそのまま曲を再生する

<デッキが停止中にHOT CUEを押す>
ポイントに移動しても自動再生はせず、ボタンを押している間だけ曲が再生される(※そしてボタンを離せば再生ポイントに自動的に戻る)

つまり、HOT CUEであればデッキの一時停止を気にすることなくバンバン曲をジャンプすることが出来るというわけです。

使い慣れているトラックであればキューの番号でポイントを覚えていたりします。そういった場合はミスが発生しないのでデッキ再生中にポイントを次々と変えても問題はないでしょう。

CUEを使った作業の例

実際にCUEを使った作業がどのようなものになるのかというと…

(1)キューポイントを設定する
(2)キューボタンを押し続けながら音楽を確認する
(3)確認が終わればキューボタンを離す、自動的に再生ポイントに戻る
(4)タイミングにあわせて再生ボタン(もしくはCUE PLAY)を押して音楽を再生する

もしくは…

(1)キューポイントを設定する
(2)キューボタンを押し続けながら音楽を確認する
(3)そのまま再生に切り替えて音楽を流す

もしくは…

(1)キューポイントを設定してデッキを再生する
(2)HOT CUEを使って連続再生する

…といったパターンが考えられます。

最初にDJコントローラーでプレイしてみて再生や停止の感覚に疑問を持ったり、CUEとCUE PLAYの違いが良く分からなかった方もいると思います。DJという作業にとってはデッキを止めている時間がとても大切になります。

そういった意味でキューはとても需要ですし、「キューボタンを押している間だけ音楽が再生されてボタンから指を離すと元の位置に戻る」という機能が必要なのです。

そしてこのときに使うのがミキサーとヘッドホンです。ミキサーでスピーカーへのボリュームを切っておかないと確認のために聞く音が混じってしまいますし、スピーカー以外の再生機材が無いと確認が出来なくなってしまいます。

CUE PLAYについて

先ほどちらりと出てきたCUE PLAYについて解説していきましょう。


CUE PLAYは基本的には普通の再生ボタンと変わりません。

『キュー設定とトラック再生を同時にする』といった機能ではありませんので一応注意しておきましょう、あくまでも音源を再生するだけです。CUE PLAYはTRAKTORでは「CUP」と略されています。

ただ、再生ボタンと微妙に異なっており、「ボタンを押した時に再生する」のか「ボタンを離した時に再生する」のかといった機能の違いがありますCUE PLAYだとボタンを離した時に再生がスタートするようになっています。

この辺りはそれぞれの感覚ですが、タイミングよくボタンを押して再生するというのは意外に難しかったりします。

個人的にはCUE PLAYを使った方が失敗は少ないと思っているのですが、ガンガンにデッキを操作する場合は動作が速い方が良い場合も多いでしょう。触っているうちに自然と使い分けるようになると思います。

CUPボタンはコントローラーの種類によっては省略されていることもある…いうか最近のものは基本的には省略されていますね。

PCDJコントローラーであればCUE PLAYは付いていないものがほとんどでしょう。ちなみに個人的に使い続けているVCI-100km2にはCUE PLAYも付いています。

まぁ慣れの問題だと思いますのでCUE PLAYがあろうと無かろうと大きな違いにはなりません。混同するリスクも減りますので実際のところは無い方が良い場合の方が多いはずです。どうしてもCUE PLAYが必要であるならマッピングを変更すれば解決します。


今回のCUEの話はDJの心臓部分なので非常に大切です。

内容としては至ってシンプルなことですが、再生とキューの関係がいまいち把握できない場合はコントローラーを触りながら確認をしていくようにしましょう。文字だといまいちだったことも実際に触ればすぐに理解できると思います。

次回は引き続いてCUEの話をしてきます。
 

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